公務員試験は大変です。
形式も択一、論文、面接と多様ですし、科目も教養科目、専門科目とあって、人文、社会、自然、数的処理、文章理解、法律、経済、政治・行政と他の資格試験には例を見ない幅を持っていることは、以前お話ししたかと思います。
しかも、ペーパーテストだけでなく面接という不確定要素もあるし、合格が最終目標ではなくて採用されてナンボというものです。
一言で「法律系科目」といっても、憲法・民法・行政法もあるし、職種によっては商法・労働法・国際法も勉強しなければなりません。
憲法一つとっても人権・統治とあって、それぞれの分野で、その研究で生計を立てている学者がいっぱいいる位だから「深くて小難しい」。
しかも「自己実現の価値」も「オームの法則」も「沖縄音楽の音階」まで出題される「広い」公務員試験だから、人生で出会うあらゆることが問われる公務員試験はある意味「人生の縮図」です。
したがって、準備も大変です。およそ他の資格試験や学校の定期試験では(そんなことないぞと言われるかもしれないけど)、「完璧な準備」というのもできるかもしれません。
しかし、公務員試験では「完璧な準備」というのはできるわけがありません。合格した外務I種試験の時の私の経験から言っても、「完璧な準備」というのは机上の計算だけ。ビクビクもので試験に臨みました。
ただ、「ビクビクはみんな一緒だ」とある意味開き直ってはいました(だから、受かったのかな?)。「どうせ、みんなできない」ですね。
完璧な準備なしで結果が問われるというのは、公務員試験も公務員の実務も、そして多分社会人の仕事も同じだと思います。
いろんな事態に対処すべく「入念な準備」はすべきですが、準備どおりにいかないのが試験本番であり、みなさんを待っている実務もこの点同じです。完璧な準備は不可能だが、入念な準備は必要。試験本番も実務もまさに「走りながら考える」であり、この意味でも公務員試験は「人生の縮図」なのです。
みなさんも勉強をしていて「試験まで時間がない」とあせるかもしれませんが、完璧な準備というのはありえません。ソクラテスだって、ケインズだって、iPS細胞の山中教授だって、公務員試験の完璧な準備は不可能です。
入念な準備は心がけて。
しかし、本番ではもしやしたら「今までの勉強は何だったのか?」と絶望に近い心境に陥るかもしれませんが、そこで「これまた人生なのだ、みんな同じだ」と思うだけで、難問・奇問や圧迫面接等の「非常事態」にも対処できるのはないかと思います。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)