「イギリスの独特さ(人文科学・社会科学よもやま話) 前編」~元公務員講師のコラム~

イギリスは島国です。日本はアジアの一員であるという言い方を敢えてしますが、そこには日本はアジアとは違う島国なんだという前提があります。
イギリスもヨーロッパ大陸に対して同じような感覚を持っているようです。イギリスはイギリスであって、ヨーロッパとはまた違うんだという意識です。

歴史の流れもまったりしています。ノルマン=コンクェストの例外を除けば、アングロ=サクソン民族がグレートブリテン島を支配下に置きます。ノルマン=コンクェストは日本の元寇に近いでしょう。
そのまったりした中世のイギリスで突然変異的に現れたのが、1215年マグナカルタでした。ひと(1)つ(2)言う(1)こと(5)聞く、国王ジョン、と覚えます。当時の国王はジョンという名前です。ジョン・レノンとかエルトン・ジョンみたい(^_^)。ジョン・メイナード・ケインズも忘れちゃいけない。貴族の特権を国王が認めた、という位置づけですが、国王=国家権力が貴族(=国王の臣下)に自由を認め、それを文書化したというのが、非常に重要です。これは後の自由主義の芽です。イギリスでこういう文書ができたのも、ジョン王がちょっと弱い人であったということと、イギリスの歴史がまったりしているところからです。

イギリスは外敵がいなかったので、1215年以来判例の蓄積が出来上がります。過去の豊富な事例に遡れば、似たような事件はあるだろうという経験的真実です。豊富な事実の蓄積から経験的に得られたルールが、例えば判例法であり、コモンローです。
自ずと真実の探求方法として、たくさんの具体例から一般論を導く帰納法が導かれます(F.ベーコン)。
ヨーロッパ大陸は歴史の流れが劇的で、取ったり取られたりなので、豊富な事実の蓄積という訳にはいきません。一般論から具体例を導く演繹法が採られます(デカルト)。
イギリスはとにかく蓄積があるので、憲法まで紙の上に書いていないという不文憲法になります。憲法は「ある」のですが、紙の上に「書いていない」のです。他国からすると、そんなんでよくやっていけるなあ、という感じなんですが、イギリス人に言わせると「1215年以来こうしてるから」ということになるんでしょうね。

 


【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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