公務員試験の択一式は、選択肢を消去していく試験です。「書いてあること」が「合っているか合っていないか」さえ分かればいいので、求められている知識量はそんなに多くありません。
論文式試験みたいに自分で「書く」必要はないし、「合っているか合っていないか」正誤の理由が問われるわけでもないです。無限の出題範囲を誇る公務員試験ですが、適切な深さで知っておけば十分です。
したがって、公務員試験ではたくさんあいまいに知っているよりも、少しのことを確実に知っている人の方が点数は良いでしょう。最悪なのは、「これ見たことある、でもどっちだったかな」というあいまいな知識です。こういう知識はいっそのこと「無い」方がマシです。なぜなら、こういうあいまいな知識は、間違いの選択肢を選ぶ一番の要因となるからです。確実な知識を持って1つの肢を確実に消せることが非常に大事です。
普段の勉強でも、あいまいな知識を増やしていないか、常に注意しないといけません。知識の量を追い求めるのでなく、基本知識、メジャー知識、過去問頻出知識の精度を高める(=より速く思い出せるようにする、知識の相互のつながりに着目する、理由付けに着目する等)ことを心がけて欲しいです。
比喩的に言えば、100のあいまいな知識より10の確実な知識です。10の確実な知識で以て確実に判断できれば、自信を持って正誤を判断する。よく分からない場合は、勇気を持って△を付ける。△を使いこなすことが選択肢試験のコツです。△を怖がって、聞いたことのある程度の「あいまいな知識」で以て○か×を付けることは絶対にあってはなりません。本試験では、△が2つ3つ付いても、なあに大したことはないです。大抵、答えは出るようになっています。
普段の勉強で過去問を検討するときも、全選択肢をべったり覚えてはいけません。選択肢単位で対応しましょう。「これは○×はっきり覚えるべき確実な知識、肢だな」「これは合格者でも正誤が分からなかった△の知識、肢だな」とあたりをつけることができれば、より効率的な勉強が可能となります。
日頃から目的意識を持って、10の確実な知識の精度を上げることを心がけて下さい。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)