「どうせみんなできない」~元公務員講師のコラム~

本試験の問題には、「必ず」知らない知識、見たことのない人名、キーワードが出てきます。
普段の勉強で過去問の知識が完全な方は、「これは私は知らない」と「正しく」判断することが出来ます。

「知らない」「わからない」というのも、一つの立派な判断なのです。
過去問が頭に入っていれば、「これはおそらくみんなも知らないだろう」と冷静に判断できるはずです。
過去問にない知識は、通常はみんなできないのです。

「どうせみんなできない」と冷静に判断できることが、極限状態の本試験では非常に大事になります。
「みんな」ができない、のであれば、「あなた」もできなくていいのです。

そこでは差はつきません。避けなければならないのは、「みんな」ができる問題を「あなた」ができないことです。

このマイナス1点を取り返すためには、「みんな」ができない問題を「あなた」が解くしかないのです。そういう無理に頼ってはいけません。
普段の勉強でも無理していませんか。これも出そうだ、あれも出そうだ、全部覚えちゃえ、高校の時の教科書も見ちゃえ、解説も全部覚えちゃえ。そういうのは全部無駄です。過去問以外の知識はみんなできないのです。

普段の勉強でも、「どうせみんなできない」という正しい割り切りが必要です。
本試験でも訳の分からない人名を見て、慌てないこと。そういうのは、「どうせみんなできない」のです。

みんなできるかみんなできないか、の基準は「過去問」です。
公務員試験の勉強は「過去問」に始まり、「過去問」に終わるのです。

本試験では15分くらい、注意事項の読み上げで受験生を待たせる試験が多いです。
「次の中に必ず正しい選択肢があるので、マークシートに記入して下さい」等、儀礼的な読み上げで時間が過ぎていきます。その間、どうするか?。

「どうせみんなできない」。問題文や受験票の余白に書いて、その文字を眺めて下さい。
手を動かすことによって緊張を緩め、「どうせみんなできない」と手で書いて目で見て、自分に言い聞かせるのです。ちょっと冷静になれます。

この受験場で一番がんばったのは、「あなた」ですよ。
「あなた」にできないのは、「みんな」できないのです。
このことを思い出して下さい。

 

 

【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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