官庁訪問について書いてみたいと思います。
官庁訪問は、国家総合職・国家一般職で行われる、いわば官庁の採用面接です。人事院の人事院面接とともに、この官庁訪問であなたを採用しますと言わせないと、試験に合格しても採用される官庁がないことになります。
私は現役の時に国Iに1次合格(経済職)し、1留して国Iに1次合格(経済職)、外Iに最終合格しました。
官庁訪問したのは、現役時が(省庁名は当時)大蔵省、通産省、郵政省、経済企画庁、1留時が通産省、農林水産省、運輸省、経済企画庁です。
並行して、民間の就活もしてました(銀行、メーカー、海運、通信等)。大学時代は発展途上国の経済発展に関心があり、ODAに携われる仕事を志望しました。
官庁訪問では、何が起こっても文句は言えません。官庁訪問は100%アウェーです。庁舎の敷地に入るや否や、全速力・全力で戦闘態勢に切り替えて下さい。守衛にさえ最敬礼・敬語を使って下さい。
外Iの話をします。オフィシャルな二次面接は2回のはずなのですが、ウラ官庁訪問的面接が2回(合格発表日の朝7時に電話があって、当日外務省に来いとの旨連絡あり。当日PMより面接、当日夕刻に立食会、ここでの応答ももちろん評価対象)、ウラ官庁訪問的食事会(先の立食会とは別日程。私は銀座のイタリアンレストラン。テーブルマナー等も見られる。入省10年前後の課長補佐2人と受験生3人で食事会、この食事会の応答も試験結果に反映されている模様。)がそれぞれありました。
それから、外Iの口述試験の時に、(当時はネットもなかったので)1次合格者の名簿を作ろうということになりました。私は真面目に書いたのですが、中には「外務省の島耕作になる」とかちょっとはじけたことを書く人もいました。試験会場で名簿を配っていたら、試験監督官(外務省の人)が来て、「これもらっていきます」と言って1部取りました。皆唖然です。島耕作も唖然です。
この2つの例からわかるとおり、官庁訪問とは完全に相手のゲームなのです。皆さんは将棋の駒です。動かすのは棋士=役所です。金が斜め下に下がれないように、皆さんには全面的に自由がありません。このことを、冷徹に認識して下さい。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)