「正解は相対的(文章理解)」~元公務員講師のコラム~

今日は文章理解の科目の独自性について、お話しします。
文章理解の正解は相対的(他と比べて決まる)なのです。
他の科目の正解は絶対的(正解は一つしかない)です。
例えば、インドのデカン高原にあるのは、「絶対に」レグール土で、黒色で綿花が栽培されます。これは絶対的に正解です。
一方、任意の問題の文章理解の正解の選択肢は、全て相対的です(穴埋め、並び替え問題を除く)。
文章理解の選択肢に、インドのデカン高原にレグール土がある、と書いてあっても、本文が熱帯のラテライトについて書かれていたら、その選択肢は不正解なのです。
こんなことは、地理を含め他の科目では絶対に起こりません。

相対的には2つ意味があります。1つは、本文そのものの内容に対して、正解は相対的なのです。本文20行程の内容に対して、選択肢数行の表現だと、表現できる内容が違いすぎます。また本文の内容がそのまま正解に書いてあったら、正解率99%だと思いませんか?。これでは試験になりません。ということで、本文そのもの内容と正解の内容は「違う」ように、問題作成者が正解肢を作成するのです。

もう1つの相対的の意味は、他の肢と比べて、という意味です。肢3が正解なのは、肢3が正しいからという理由よりは、肢1,2,4,5が間違いという理由で、正解なのです。肢3も肢1,2,4,5も本文そのものの内容と違うという意味では変わりません。ただ肢3は本文そのものの内容との距離の近さが「一番マシ」なのです。肢3が肢1,2,4,5よりも「近い」のです。だから肢3が正解なのです。
正解の「正しさ」は相対的です。正解肢より正解に近い肢というのは、いくらでも創作可能です。まさに無限です。

文章理解を演習していて、正解に合点がいかないな等と思われるかもしれませんが、それは当然です。文章理解というのはそういう科目なのです。
文章理解は正解の根拠が、限りなく薄いのです。
文章理解を解く時は、いきなり正解肢を1つ選ぶのでなく、4つの間違いの肢を消去して正解肢を1つ残すという、消去法で解いて下さい。
5本の肢の中で、一番マシなのを選ぼうという姿勢が大事です。
理想主義(ベストを選ぼう)ではなく、現実主義(マシなのを残す)です。

 


【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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