私はアラビア語担当官だったのですが、先輩に非常に優秀な通訳がいらっしゃいました。総理大臣の通訳も務められた方です。アラブ人が、「彼のアラビア語はアラブ人よりうまい」という位に、アラビア語が完璧だった先輩です。
その先輩と深夜タクシーで帰る機会がありました。1年生としては、ここぞとばかり先輩から根掘り葉掘りいろいろな事情を聞けばいいのに、平凡な後輩中島は、「早く寮にタクシーが着けばいいのに・・・」と思っているおばかさんでした。
その中でも、印象に残っている話があって、いい通訳の条件という話になって、先輩はずばり「眠れること」、と断言されました。しっかり睡眠を取れれば、自ずと通訳というのはできるとのこと。「流石だなあ」と思いました。
また先輩は、相手のアラビア語は非常によくわかるが、対応する日本語がうまく見つからない、という話もされていました。これも深いです。不肖の後輩中島には、深すぎてわかりません。達人の境地です。
先輩の語学のアドバイスとしては、童話とか子供向けの本とか、読んで了知できるような教材を読みなさい、新聞等はあまりお勧めできない、との話がありました。日本語を勉強している外国人がいるとして、新聞だけ読めるというのも、何か違いますね。
ただ、私はエジプトで研修したのですが、コンピューターを駆使する大学教授の下で、新聞記事を読んだりニュースの映像を視聴したりしていたので、この意味でも不肖の後輩でした。
職場には見習うべき上司と、そうでない上司がいます。
どんな職場でも、そうでしょう。
賢くふるまうように。
周りの人が尊敬している人望のある上司に、ついていきましょう。
そうでない上司には、それなりに。
でも上司だから、邪険にはしないで。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)