面接の志望動機についての話です。
やりたいことがはっきりしているというのは悪いことではありません。
普通は~の職種・自治体で、こういうことをしたいというのは、何らかの形で決まるはずです。
しかし、これしかできない、これ以外の仕事はしたくないと面接官に評価されるようでは、それは問題となります。
私の公務員試験の面接の時の話です。
私は学生時代、とにかくODA(政府開発援助)についての仕事に就きたかったのです。
発展途上国の経済発展に携わってみたいと思っていました。
ということで、大蔵省に行っても、通産省に行っても、経済企画庁に行っても、郵政省に行っても、農林水産省に行っても、運輸省に行っても、ODA,ODAと言う学生だったのです。
確かに、大蔵省も、通産省も、経済企画庁も、郵政省も、農林水産省も、運輸省もODAは扱っています。
しかし、決してメインではありません。
ということで、日経新聞でその省庁のODAの事業を調べ上げて、面接官に一生懸命ODAのことをアピールしても、「知識のひけらかしだ」と言われたりとか、「うちのメインはODAじゃない」とか、そういう対応をされてしまいます。
切り口として、ODAを言う分にはいいのですが、ODAしか関心がないと思われたらそれはまずいのです。
公務員の仕事は幅が広いですから。
その役所の標準的な行政官として、幅広くいろんな課でいろんな業務を経験して、ゆくゆくは自分の専門を見つけていくというのが、望まれる公務員の経歴の積み方です。
皆さんのESも私のODAのようなことしてませんか。
ただ皆さんの志望動機が一点突破型だったとしても、面接官から「うちは~の仕事もあるけど、うちの仕事は幅広いから~の仕事を扱う課に配属される可能性は非常に低い」と言われたとしても、模範解答はあります。
「一人前の行政官になるためには、様々な業務を経験する必要性があることは認識している。その経験を活かして、ゆくゆくは~の仕事に就いてみたい」と。
ものは言い様ですね。
優等生的かつ誰でも言いそうですが、面接官に「こいつは~しかできない」と思われるか、模範解答を答えて「柔軟性があるな」と思わせるかでは、全然評価が違います。
皆さんは、模範解答を寿限無寿限無と答えましょう。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)