「思い出せないだけで、忘れていない」~元公務員講師のコラム~

勉強をしていて、なかなか覚えられないとか、すぐに忘れてしまうとか、知識の定着について悩みをお持ちの方も多いと思います。
忘れるというと、あたかも頭に入れた知識がゼロになってしまうと思われる方か多いですが、完全にゼロになってしまうわけではありません。
いったん頭の中に入った知識は、思い出せないだけであって、忘れてはいないのです。

忘れることを恐れてはいけません。
将棋の羽生さんも自分の対局を忘れていると言われていますから。
ただ、局面の図を見ると、羽生さんはそこから思い出せるのです。

知識をインプットするときに、忘れた時に備えて、思い出し方、思い出すきっかけも一緒にインプットするのが重要です。
講師が冗談を言ったとか、具体例とか、歴史・時系列の流れとか、地域・空間のつながりとか、図表とか、理由付けとか、語呂合わせとか、こういった類のものは、すべて思い出し方、思い出すきっかけです。

問題を解く時も、知識がうまくアウトプットできなかったとしたら、どう思い出せばいいのかという観点で、復習してみて下さい。
問題が解けないのは、忘れたからではないのです。
思い出せないからです。

忘れたことのせいにすると、そこからは何も向上しません。
思い出せないことのせいにすると、例えば、ここ何か語呂合わせないかなとか、積極的な策を講ずることができます。

 

【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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