「法律は一方通行、経済は相互通行」~元公務員講師のコラム~

教養試験の社会科学や専門科目で、法律や経済を勉強されると思います。
私も外務I種試験や国家I種試験、行政書士試験等で、法律や経済を勉強しました。
法律というのは論理の方向が一方向に流れる一方通行で、経済は論理の流れがグルグル循環する相互通行という感じがしました。

法律はいわゆる論証というのがあります。問題提起→規範定立→あてはめ、というものです。学者の先生が書かれる基本書なり、予備校のテキストは、基本的にこの流れです。
これは問題からルールが出てきて結論が出るという、一方通行の流れです。結論が問題に戻るということは、基本的にないのです。

一方経済は、財政支出をした結果IS曲線が右にシフトして、GDPが増加して利子率が上昇して、その新しく上昇した利子率が投資に影響してGDPが減少して、それからそれから、と議論に歯止めがなくて、ひたすら続いていくのです。この流れに金融や為替相場も考えたら、議論はひたすら続いていきます。
問題点に結論が影響を与えたり、出た結論が問題点に影響を与えたりと、相互通行なのです。法律とは大きく違います。
ただし、選択肢レベルでは、答えが出るように論理の流れを切った形になっています。
もう一つ、経済には均衡というのがあります。この均衡以降は考えない、というのも経済の特徴です。ただ、均衡で経済は瞬間冷凍されたように止まると考えるのは静学的分析であり、瞬間を動かして考える動的分析というのもあって、経済は小難しいのです。

法律と経済を同じレベルでとらえると、たぶん戸惑われると思うので、違いを意識して下さい。

 

【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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