今回は仏教用語を取り上げます。
吾(われ)、唯(ただ)、足るを知る。
私は、自分が足りているということはわかっていますよ、という意味です。
公務員試験は完全な準備をしようとすると、苦しいです。範囲も広いし、一つひとつの科目が深いです。しかも、択一、論文、面接、集団討論と形式も多様です。
そこで、妥協ではありませんが、勉強の深さに何らかの形で折り合いをつける必要があります。深さの目安は、ズバリ過去問です。自分の勉強が必要十分である、つまり「足りていることを知る」必要があるのです。
経済学の理論が教えているところは、制約がある中での最大化です。のべつまくなしの最大化だとキリがありません。公務員試験の勉強だと、過去問百回!とか。そうでなく、現実の時間的、能力的制約の中で、どれだけ獲得点数を最大化するかが求められています。
「足るを知る」も、言わば制約の中での最大化です。この制約の中には、他の受験生の中ではという側面も入ってくるでしょう。他の受験生が勉強していなければ、その論点は知らなくてもいい訳です。ここでも、目安は過去問です。
受験勉強中は苦しいので、一生懸命勉強したのならば、吾唯足知を思い出して下さい。普段から「足りている」と余裕綽々の方は、いざと言う時に「足りない」です。普段から「足りない」と一生懸命の方は、いざと言う時に「足ります」。
一生懸命な方こそ、吾唯足知と心を落ち着けましょう。何もしない人が、吾唯足知と言っても、ただの怠慢ですからね。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)