「上司は部下の笑顔が見たい」~元公務員講師のコラム~

私の役所1年生時代のことです。

所属していた課の首席事務官(課の№2、外務省独特のポジション、他の省だと筆頭課長補佐、人格に優れ、仕事もできる、尊敬できる上司)と、役所の職員食堂で夕食をとる機会がありました。
その時の夕食のメニューで、私の好物のカジキマグロの醤油焼きがあって、思わず笑顔になりました。すると、首席は「中島君、カジキマグロだよ、笑って笑って!」と、子供をあやすような感じで言われるのです。私は、首席がなぜこのような少しおどけたような感じで言うのか、その時は理解に苦しみました。

今になってわかることは、私は職場では笑顔がなかったな、ということです。1年生は課のムードを作ります。1年生がしゅんとしてると課もしゅんとしてます。1年生が率先して明るくしないと、課も明るくなりません。まさに、最澄の「一隅を照らす」なのです。1年生は課の一隅を照らしているのです。
私は職場にいたときは、一言で言うと「今日は早く帰りたいな、タクシーじゃなく電車で帰りたいな」というムードをプンプン出していました。笑顔とはほど遠い状態です。

試験に合格したときは、「外務省で働けてうれしい」という初心でしたが、わずか1年で不良1年生になるものなのです。これを読んでいる学生の方は、とにかく初心を忘れないように。

上司は1年生が思うより、1年生の一挙手一投足を見ているものなのです。首席も、中島には笑顔が足りないと思って、カジキマグロのパフォーマンスをされたと思います。ただ、そんな首席の深慮策謀も、当時の中島には何にも通じなかったのであります(^_^;)。

初心は忘れずに。
青雲の志を持ちましょう。

 


【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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