「私の役所時代の一日」~元公務員講師のコラム~

公務員がどんな感じの一日を送っているか、イメージを持ってもらうために、私の外務省時代の仮想の一日を記したいと思います。

朝8時起床。寮が広尾にあったので、役所までは地下鉄で15分くらい。朝食を取ったり、テレビニュースを見たり。
朝9時出勤。寮から同期達と出勤する場合が多い。
朝9時20分課に到着。役所の始業時間は9時半から。1年生なので、早めに出勤。課長や幹部は10時くらいに来られる。

朝9時半。新聞の切り抜きを作る。朝日、読売、毎日、日経、産経、東京、ジャパンタイムズ、インターナショナルヘラルドトリビューンを読んで、中東に関する記事を切り抜く。30分くらいかかるが、中東の基本知識を身につけるいい勉強になった。私の期以降は、新聞の切り抜きは外注に出すことになった。課長は、中東に関しては、読売と産経と東京を読んでいた。
朝10時。パレスチナ支援の文書について持ち回りを行う。文書を持ちながら、人も書類にくっついて決裁を取っていくというものです。急ぎの文書の時にこれを行います。総務課、会計課、経済協力局を回ります。
随時、電話を取る(5~10分に1回くらい)、コピーを取る、文書作成を行います。

昼12時半。ランチ。日比谷に課の人とトンカツを食べに行く。食後のコーヒーも飲んで、ゆったりモード。
昼2時。先日の局議録の清書。局議は週に1回くらい行われる。5回に1回、局議録の記録の仕事が回ってくる。メモ取りの技術は1年生には必須。と言うか、役人には必須です。言われていないセリフも忖度して書くとか、独特のテクニックが必要です。
昼3時。おやつ。課への差し入れなど、お菓子が庶務班のテーブルに並ぶ。コーヒーは課金(給料の1%を課に積み立てる)を活用して、1杯10円で飲める。
昼4時。アラファトPLO議長の親書の和訳を作成する。一年生が行うのは最初の仮訳。しかし、上司の計らいで私の和訳がそのまま通り、オフィシャルな訳として決裁された。上司は少しでも私にモチベーションを持たせようと、そういう計らいをしてくれました。

夜7時。夕食。夕食代は役所が負担してくれる。ミックスフライ定食を食べる。私が好きだったのは、カジキマグロのグリル定食。
国会答弁の作成作業等を夜に行う。
標準的な帰庁時間は、夜12時20分。終電の時間である。朝が遅めなので、何とかやっていける。

朝から夜まで、大変な1日である。今から考えればよくやっていたなあと。
この生活を25年続けている同期はえらいです。

 

【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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