模試はできるだけ受験した方がいいです。
「まだ模試を受ける実力がないから模試を受けない」という人には、永遠に模試を受験する機会は訪れません。実力が不十分でも、というより不十分であるからこそ、模試は受験すべきなのです。
実際に模試を受験することによって、本試験感覚が自ずと備わることになりますし、自分の足りないところが具体的にわかります。
ここでは模試のメリットを3つに分けてお話しします。
一つ目は、本試験のシミュレーションになるということです。織田裕二が主演していた「踊る大捜査線」で、「事件は現場で起きている」という名台詞がありました。「踊る大捜査線」は警察志望の方はレンタルDVDで、是非見て下さい。模試で言えば、「試験は現場で起きている」です。
試験会場の隣で火事が起こって、消防車のサイレンやマスコミのヘリコプターが飛んできても(これは極端ですが)、隣の人のびんぼうゆすりがひどいとか、独り言を言うとか、本試験ではいろいろ悪条件が考えられます。そういったアクシデントを模試で体験すべきです。
模試で座る席も、独り言を言いそうな人の隣とかに、進んで座ることにしましょう。場所も、入り口に近いとか、最前列とか、太陽光が直射するとか、いろいろなシチュエーションを想定して決めましょう。
二つ目は、時間の使い方です。2時間で50問丸ごと解く機会というのは、模試以外ではなかなか得ることができません。いい加減で解く(=良い加減で解く)ペースを体感するのは、模試以外にはありません。
普段の過去問の演習は1問解いて1問解説というペースになるのですが、本試験や模試は10問くらいの問題群を右から左に動かすという感覚です。点の処理ではなく、線や面の処理という表現ができます。
科目の解く順番とか、トイレ休憩をどうするかとか、マークを1問ごとにするか最後にまとめてするかとか、模試で体験しておいて下さい。
三つ目は、正答率に着目です。自分の間違えた問題で正答率が70%以上の問題は要復習です。そこが弱点です。その間違いには必ず原因があります。単なるケアレスミスかもしれませんし、自分だけ重要Aランク知識を知らなかったということもあるでしょう。ここは腰を据えて、原因を究明しなければなりません。
模試を受けると、合格判定とか出ますが、気にしないことです。
模試の前は模試を締め切りにして、模試を意識して全力で予習して下さい。模試の後は、正答率70%以上で間違えた問題は復習しなければいけませんが、他の問題はさらっと流すくらいでいいです。
ただ、普通の人は逆なのです。模試を受けるのに、土曜に飲み会とか行きます。日曜に模試を受けて、合格判定を異様に気にします。これは模試の使い方としては、完全に逆です。せっかく、模試を受けるのですから、締め切りとして最大限に活用して、受けたらあっさりと忘れて下さい。前に気にして後に気にせず、です。前に気にせず後に気にして、はダメです。
模試は他流試合をした方がいいでしょう。学内講座の方も、投資をして大手予備校(LEC、TAC、東京アカデミー、産経模試、実務教育出版模試)の模試も受けることをお勧めします。
予備校の模試は1つの学校でいいと思います。勉強が進んで、経済的に余裕のある方は、複数の予備校の模試を受験してもいいでしょう。
【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)