「法律・経済受講のコツ 最後まで一周する」~元公務員講師のコラム~

公務員試験の勉強で、特に理解が難しい科目・分野(専門科目の民法や経済原論、教養科目の社会科学の法律・経済分野)で、大切な考えがあります。それは「最後まで一周する」ということです。
こういう科目では、走ってから考えるというスタンスが望まれます。取りあえず、最後まで走って下さい。

民法等で講義を受けていて、「よくわからない」「???」という箇所が頻発すると思うのですが、そこで止まって受講をストップしてしまうというのが最悪です。わからない場合は、そういうとこに付箋でも貼って、最後まで受講してから、もう1回考え直してみて下さい。
最後まで受講して体系が頭に入っていると、そこがよくわかるということが、公務員試験の勉強ではよく起こります。全体が入っているから、部分のつながりがわかる状態です。
私を始め講師は工夫しますが、皆さんが最初に聞くのは「部分」です。いきなり難解な実務的な概念が来てもわからないのは、至極当然です。「わからない」のがノーマルですから、「わからない」を怖がらないこと。授業中では60%講師の話していることがわかったら、全然OKです。60%わかるって、体感的には「すごい難しい」くらいの感覚だと思います。

部分と全体の関係は講師としては悩ましくて、最初に概略を話すとか、レジュメ等で全体の関連を示すとか、工夫を凝らします。しかし、民法や経済原論の造りが円環的構造(極端に言うと、テキストの最終ページの知識が最初のページの理解に必要。どうテキストを構成しても、この円環からは逃れられない)になっている以上、この全体と部分の関係は、どこまでもつきまといます。
ともあれ、今日の要点は授業が難しいのは当たり前、わからないのは当たり前、最後まで聞いてから戻って考える、ということです。
法律科目なり経済原論なり、教養の社会科学なり、大学の学部生が何年もかけて学ぶ科目ですから、公務員試験の授業で数ヶ月でこなすのは、これは当然難しいのです。

 

【中島講師 プロフィール】
94年7月外務I種最終合格。国家I種経済職も1次合格していたが、外務I種合格により辞退。
外務省は4年勤務、アラビア語研修を命ぜられ、中近東第1課、エジプト大使館に勤務。諸事情により任期途中で日本に戻り人事課等に勤務。
2001年より公務員試験講師。延べ2400回の授業、24000人の学生に講義。
主な著作:「受験ジャーナル直前対策ブック 暗記科目の語呂合わせカード」、「語呂合わせで急所をチェック 公務員試験」(文芸社)

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